夜尿症

■夜尿症とは?

夜尿症とは、一般的に5歳以上の子どもで、月に数回以上、睡眠中に無意識に排尿してしまう状態を指します。乳幼児期のおねしょは成長過程の一部として自然なものですが、年齢が上がるにつれて徐々に減少し、自然に治まることが多いです。

しかし、小学校に入る頃になっても頻繁におねしょが続く場合は、夜尿症として対応を考える必要があります。夜尿症には、これまで一度もおねしょが止まったことがないタイプと、一度改善した後に再び始まるタイプがあります。それぞれ原因や対応が異なる場合があるため、状況に応じた理解が重要です。

また、夜尿症は子どもの意思や努力不足によるものではありません。体の発達や機能のバランスが関係しているため、叱ることや無理に我慢させることは逆効果になることもあります。子ども自身も気にしていることが多いため、安心できる環境で見守ることが大切です。

■夜尿症の原因

夜尿症の原因は一つではなく、いくつかの要因が組み合わさっていることが多いです。主に体の発達の遅れやホルモンの働き、睡眠の状態などが関係しています。

まず、夜間に作られる尿の量が多いことが原因となる場合があります。通常、体は夜になると尿の量を減らすホルモンが分泌されますが、この働きが十分でないと、夜でも多くの尿が作られてしまいます。その結果、膀胱にためきれずにおねしょが起こります。

次に、膀胱の容量や機能の問題も関係します。膀胱がまだ十分に発達していない場合、尿を長時間ためることができず、少量でも排出されてしまうことがあります。また、膀胱が過敏な状態だと、少しの尿でも排尿反射が起こることがあります。

さらに、睡眠の深さも重要な要因です。夜尿症の子どもは眠りが深く、尿意を感じても目が覚めにくい傾向があります。そのため、膀胱がいっぱいになっても起きることができず、そのまま排尿してしまいます。

加えて、ストレスや生活環境の変化も影響することがあります。入学や引っ越し、家庭環境の変化などがきっかけで一時的に夜尿が再発するケースもあります。

■夜尿症の危険性

夜尿症そのものが重大な病気であることは多くありませんが、放置することでいくつかの問題が生じる可能性があります。

まず、子どもの心理面への影響が大きな問題です。おねしょが続くことで自信を失ったり、恥ずかしさを感じたりすることがあります。特に年齢が上がるにつれて、友達との宿泊行事などに対して不安を抱くこともあります。

また、まれに体の病気が隠れている場合もあります。尿路感染症や糖尿病、神経の異常などが原因で夜尿が起こることもあるため、症状が強い場合や急に始まった場合には注意が必要です。

さらに、生活習慣の乱れが関係している場合には、睡眠不足や生活リズムの乱れにつながることもあります。これにより、日中の集中力や体調に影響が出ることも考えられます。

■夜尿症がある時の検査方法

夜尿症が気になる場合には、小児科や泌尿器科での相談が可能です。まず問診によって、おねしょの頻度やタイミング、生活習慣などについて詳しく確認されます。

尿検査では感染症や糖尿の有無を調べます。必要に応じて血液検査や超音波検査が行われることもあり、膀胱や腎臓の状態を確認します。

また、排尿日誌をつけることで、尿の量や回数、生活リズムを把握し、原因の特定に役立てることもあります。

■夜尿症の治療方法

夜尿症の治療は、原因や年齢に応じて行われます。まず基本となるのは生活習慣の改善です。規則正しい生活や適切な水分摂取の調整が重要です。

必要に応じて、夜間の尿量を減らす薬が使用されることもあります。また、アラーム療法と呼ばれる方法では、尿が出始めたタイミングで音が鳴る装置を使用し、排尿の感覚を身につけるトレーニングを行います。

治療はすぐに効果が出るとは限らず、継続的な取り組みが必要です。

■夜尿症を防ぐための対策

家庭でできる対策としては、まず生活リズムを整えることが重要です。早寝早起きを心がけ、十分な睡眠を確保することが大切です。

また、就寝前の水分摂取を控えることや、寝る前に必ずトイレに行く習慣をつけることも効果的です。日中にしっかり水分を摂ることで、夜間の尿量を減らすことにもつながります。

何よりも大切なのは、子どもを責めないことです。安心できる環境で見守りながら、少しずつ改善を目指すことが重要です。

■夜尿症についてのよくある質問

Q1 夜尿症はいつまで続くものですか?

夜尿症が続く期間には個人差がありますが、多くの子どもは成長とともに自然に改善していきます。一般的には小学校に入る頃までに回数が減り、徐々におねしょをしなくなるケースが多いとされています。ただし、小学校高学年になっても続く場合や、ほぼ毎日のようにおねしょがある場合には、何らかの体の機能が未発達である可能性があります。また、一度おねしょが止まっていたにもかかわらず再び始まる場合には、生活環境の変化やストレスが関係していることもあります。年齢だけで判断するのではなく、頻度や本人の負担の程度を考慮し、必要に応じて医療機関に相談することが大切です。

Q2 親の育て方が原因ですか?

夜尿症は育て方やしつけの問題ではなく、主に体の発達や機能に関係している症状です。夜間の尿量を調整するホルモンの分泌や、膀胱に尿をためる力、尿意で目が覚める力などが十分に発達していないことが原因となることが多いです。そのため、親が厳しくしつけたから治るというものではありません。むしろ、叱ったり責めたりすることで子どもにストレスがかかり、症状が長引く可能性もあります。夜尿症は子ども自身も悩んでいることが多いため、安心して過ごせる環境を整えることが改善への第一歩となります。

Q3 起こしてトイレに行かせるべきですか?

夜中に子どもを起こしてトイレに行かせる方法は、一時的におねしょを防ぐことにはつながりますが、根本的な解決にはならないことが多いとされています。この方法では、膀胱に尿がたまったときに自分で目を覚まして排尿する力が身につきにくいため、長期的な改善にはつながりにくいと考えられています。また、深い睡眠を妨げることで生活リズムに影響が出ることもあります。ただし、宿泊行事など特別な場面で一時的に使用することは一つの選択肢となることもあります。基本的には、子ども自身の成長に合わせた対応が重要です。

Q4 病院に行くべきタイミングは?

夜尿症で医療機関を受診するタイミングとしては、5歳を過ぎても頻繁におねしょが続く場合や、小学校に入っても改善が見られない場合が目安となります。また、これまで問題なかったのに急におねしょが始まった場合や、昼間の尿漏れ、排尿時の痛み、強い喉の渇きなどの症状を伴う場合には、体の病気が関係している可能性もあるため早めの受診が必要です。医療機関では原因を確認したうえで、適切なアドバイスや治療を受けることができます。迷った場合には早めに相談することで、安心につながります。

Q5 叱ると改善しますか?

夜尿症に対して叱ることは、基本的に改善にはつながらず、むしろ逆効果になることが多いです。子どもは自分の意思でおねしょをしているわけではなく、体の機能が未発達なことが原因で起こっています。そのため、叱られることで「また失敗してしまった」という不安やストレスが増し、自信を失ってしまうことがあります。ストレスは夜尿症を悪化させる要因の一つでもあるため、温かく見守る姿勢が大切です。成功した日にはしっかり褒めるなど、前向きな関わりが改善を促すポイントになります。

文責
東京ロータスクリニック
院長 吉田 剛大

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2025年12月1日
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