前立腺がん

目次
■ そもそも前立腺がんとは?
■ このような違和感は前立腺がんかもしれません
■ 前立腺がんの主な症状
■ 前立腺がんが起きる原因
■ 前立腺がんの検査方法

■ 前立腺がんの治療方法
■ 前立腺がんの予防方法
■ 前立腺がんについてのよくある質問

前立腺がんは、日本人男性において年々患者数が増加しているがんの一つです。特に高齢化の進行に伴い、現在では男性がかかるがんの中でも上位を占めるようになっています。一方で、進行が比較的ゆっくりなケースが多く、早期に発見できれば治療の選択肢が広く、長期的に良好な経過が期待できる点も大きな特徴です。

しかし、初期には自覚症状がほとんどないことが多く、「気づいたときには進行していた」というケースも少なくありません。そのため、前立腺がんについて正しく理解し、検査や受診の重要性を知ることが非常に重要です。

■ そもそも前立腺がんとは?

前立腺がんとは、男性にのみ存在する前立腺という臓器に発生する悪性腫瘍です。前立腺は膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むような形をしており、精液の一部を作る役割を担っています。

前立腺がんは、がん細胞の増殖速度が比較的ゆっくりな場合が多く、他のがんと比べて進行に時間がかかる傾向があります。そのため、がんが見つかってもすぐに命に関わる状態になるとは限らず、患者さんの年齢やがんの性質によっては経過観察が選択されることもあります。

■ このような違和感は前立腺がんかもしれません

・尿の勢いが弱くなってきた
・排尿に時間がかかるようになった
・夜中に何度もトイレに起きるようになった
・排尿後に尿が残っている感じがする
・血尿や血の混じった精液を見たことがある

これらの症状は、前立腺肥大症など他の前立腺疾患でも見られるため、前立腺がん特有の症状とは言えません。しかし、特にこれまでにない変化を感じた場合や、症状が徐々に進行している場合には注意が必要です。

前立腺がんの厄介な点は、初期段階ではまったく症状が出ないことも多い点にあります。そのため、症状の有無だけで判断するのではなく、年齢や検査結果を踏まえた総合的な判断が重要になります。

■ 前立腺がんの主な症状

前立腺がんの特徴としてまず挙げられるのが、初期段階ではほとんど自覚症状が現れないという点です。がんが前立腺の内部に限局している段階では、尿道や膀胱への影響が少なく、排尿に関する異常が出ないことも珍しくありません。そのため、健康診断やPSA検査によって偶然発見されるケースが多く見られます。

がんが進行し、前立腺の外側や尿道周辺に影響を及ぼすようになると、排尿症状が現れることがあります。具体的には、尿の勢いが弱くなる、排尿に時間がかかる、排尿後に残尿感があるといった症状が見られます。ただし、これらの症状は前立腺肥大症でも非常によく見られるため、症状だけで前立腺がんと判断することはできません。

さらに進行した場合には、血尿や血精液が見られることがありますが、これも必ずしも前立腺がん特有の症状ではありません。がんが骨に転移すると、腰痛や背部痛、股関節の痛みなどが出現することがあり、これらは安静にしていても改善しない持続的な痛みとして感じられることが多いのが特徴です。この段階では、全身の倦怠感や体重減少、貧血症状など、全身状態の変化が現れることもあります。

このように、前立腺がんは症状が出るころには進行している可能性があるという点が重要であり、症状の有無に頼らず検査を受ける意義が強調されています。

■ 前立腺がんの原因

前立腺がんの発症原因については、現在の医学でも完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していることが明らかになっています。最も大きなリスク因子は加齢であり、前立腺がんは高齢になるほど発症率が上昇します。これは、長年にわたる細胞分裂の過程で遺伝子異常が蓄積することが一因と考えられています。

また、男性ホルモンであるアンドロゲンの影響も重要です。前立腺はホルモンの影響を強く受ける臓器であり、ホルモン環境が前立腺細胞の増殖やがん化に関与していると考えられています。そのため、前立腺がんの治療においても、ホルモンの作用を抑える治療が重要な役割を担っています。

遺伝的要因も無視できません。父親や兄弟に前立腺がんの既往がある場合、発症リスクが高くなることが知られています。さらに、食生活や生活習慣の影響も指摘されており、動物性脂肪の多い食事、肥満、運動不足などがリスク因子として挙げられています。

■ 前立腺がんの検査方法

前立腺がんの検査において中心となるのがPSA検査です。PSAは前立腺から分泌されるタンパク質で、血液中のPSA値を測定することで、前立腺の異常を早期に捉えることが可能です。ただし、PSA値の上昇は前立腺がんだけでなく、前立腺肥大症や前立腺炎などでも起こるため、PSA検査はあくまでスクリーニング検査として位置づけられます。

PSA値が基準値を超えている場合や、経時的に上昇している場合には、直腸診による前立腺の触診や、MRIなどの画像検査が行われます。近年では、MRI検査によってがんの存在や悪性度をより正確に評価できるようになってきています。

最終的な診断には、前立腺生検が行われます。これは前立腺の組織を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無や悪性度を確認する検査です。生検結果は、治療方針を決定するうえで極めて重要な情報となります。

■ 前立腺がんの治療方法

前立腺がんの治療は、がんの進行度、悪性度、患者の年齢、全身状態、生活背景などを総合的に考慮して決定されます。進行が緩やかで、がんが前立腺内に限局している場合には、すぐに積極的な治療を行わず、定期的な検査で経過を観察する「積極的監視療法」が選択されることもあります。

根治を目指す治療としては、手術療法や放射線療法があり、それぞれに利点と注意点があります。進行した前立腺がんや転移がある場合には、ホルモン療法や化学療法が用いられ、がんの進行を抑えることを目的とした治療が行われます。

治療選択は一つではなく、患者本人の価値観や生活の質を重視した話し合いが非常に重要です。

■ 前立腺がんの予防方法

前立腺がんを確実に予防する方法は確立されていませんが、発症リスクを下げると考えられる生活習慣は知られています。野菜や果物を中心としたバランスの良い食事、適度な運動、体重管理は、前立腺がんだけでなく全身の健康維持にも寄与します。

また、一定年齢以上の男性が定期的にPSA検査を受けることは、予防というよりも早期発見のための重要な手段です。特にリスクが高い人では、医師と相談のうえ検査のタイミングを決めることが推奨されます。

■前立腺がんについてのよくある質問

Q1. PSA検査で数値が高いと言われましたが、必ず前立腺がんなのでしょうか。

PSA値が高いからといって、必ず前立腺がんがあるとは限りません。前立腺肥大症や前立腺炎など、良性の病気でもPSA値が上昇することがあります。そのため、PSA検査は前立腺がんを疑うための「入り口の検査」と位置づけられており、追加の検査によって総合的に判断されます。

Q2. 前立腺がんと診断された場合、必ずすぐに治療を始める必要がありますか。

前立腺がんは進行が非常にゆっくりなタイプも多く、がんの性質や患者の年齢、全身状態によっては、すぐに治療を行わず経過を慎重に観察する選択肢が取られることもあります。すべての前立腺がんが緊急治療を要するわけではありません。

Q3. 前立腺がんの治療後、性機能や排尿機能への影響はありますか。

治療方法によっては、性機能や排尿機能に影響が出る可能性があります。ただし、影響の程度や回復の見込みは治療法や個人差によって異なります。近年では、機能温存を重視した治療法も進歩しており、治療前に医師と十分に相談することが重要です。

Q4. 高齢でも前立腺がんの検査や治療を受ける意味はありますか。

年齢だけで検査や治療の必要性を判断することはできません。健康状態や余命、生活の質を考慮したうえで、検査や治療の方針が決められます。高齢であっても、状態によっては検査や治療が有効な場合があります。

Q5. 前立腺がんは生活習慣を改善すれば進行を止められますか。

生活習慣の改善だけで前立腺がんの進行を止めることは難しいですが、全身の健康を保ち、治療の効果を高めるうえでは重要な役割を果たします。食事や運動、体重管理は、治療中・治療後の生活の質を支える基盤となります。

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